「被告は、原告に対し、◯◯万円を支払え」
裁判に勝つと判決にこのような文が書かれています。
「◯◯万円を支払え」とありますから、相手から払ってもらえそうです。
しかも裁判所が出している判決ですから期待がふくらみます。
ですが、お金がもらえないことがよくあるんです。
相手が無視したまま払わないケースです。
「じゃあ分かったよ。相手の家を売っぱらってやるよ」と思っても、おそらく難しいと思います。
きっと銀行の抵当権がついている可能性が高いからです。
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逃げて金がない奴は強い
逃げてお金がない人は強いです。
裁判に勝っても、相手が自分から進んで払ってくれないとお金がもらえません。
払ってもらえない場合には、『差押え』(さしおさえ)や『強制執行』(きょうせいしっこう)という手続きを取ることになります。
たとえば次のものが考えられます。
- 給料
- 預貯金
- 不動産
- 動産
でも、このようなお金(財産)がない人からは回収することが難しいです。
つまり逃げていてお金がない人は強いです。
「強い」という意味は回収が難しいという意味で使っています。
判決が『絵に描いた餅』になることもある
裁判所が出した判決だからといって、何でもできるわけではありません。
お金がもらえないときは、残念ながらもらえないことがあります。
まさに判決が『絵に描いた餅』で終わってしまうなんてことも。
しかも、相手の財産を探すことも自分でやらないといけないんです。
裁判所は手伝ってもくれません。
冷たいようですが本当に冷たいです。
給料を差し押さえる
相手の給料を差し押さえるケースについて考えてみます。
給料の差押えができれば回収できる可能性が高くなります。
まずは相手の会社を探すところからスタートします。
その上で裁判所に給料差押えの申立てをすることになります。
相手の給料の一部から少しずつ回収ができるようになります。
ここで困ることは相手が会社をやめてしまうことです。
- 自分からやめるのか
- 会社から面倒だからやめるように言われるのか
その本当のところはわかりません。
相手が会社をやめてしまうと、また最初からやり直しになってしまいます。
預貯金を差し押さえる
相手の『預金』や『貯金』を差し押さえるケースについて考えてみます。
銀行や郵便局の口座を差し押さえることになります。
この場合には自分で相手の「銀行」と「支店」まで調べる必要があります。
口座番号を調べる必要はありません。
さすがに口座番号を調べるのは難しいです。
相手の銀行と支店を調べた上で、裁判所に預貯金の差押えの申立てをします。
ここで気をつけることは、実際に口座がなかったら“空振り”になってしまうんです…。
口座残高がなかったときも回収ができません(当たり前といえば当たり前ですが)。
相手の銀行がわからなかった場合でも方法はあります。
それはダメもとで相手の近所の銀行や郵便局を対象にして預貯金の差押えをすることです。
つまり『相手が近所の金融機関を利用している』と予想して、空振り覚悟で申し立てをします。
「当たればラッキーかな」くらいの気持ちです。
自宅の近所の銀行や郵便局に口座をもっていることが多いので、それを利用します。
不動産(家や土地)を差し押さえる
相手の不動産(家や土地)を差し押さえるケースについて考えてみます。
「競売」という手続きです。
一般的には「きょうばい」と読みますが、裁判所や弁護士さんは「けいばい」と言っています。
この場合はおそらく難しいと思います。
なぜなら家や土地には、すでに銀行の抵当権(根抵当権)が設定されている可能性が高いからです。
銀行で住宅ローンを借りると家や土地に抵当権がつくんです。
不動産(家や土地)に抵当権がついている場合には、抵当権の方が優先するので手続きを進めることができません。
動産(テレビやパソコンなど)を差し押さえる
相手の動産(テレビやパソコンなど)を差し押さえるケースについて考えてみます。
漫画やドラマなどで、こういったシーンを見かけることがありますよね。
この手続きはある程度最後まで進む可能が高いと思います。
ですが回収できる金額は正直少ないです。
二束三文で高い値段がつくことはあまりありません。
お金の回収目的よりも、『相手に対する嫌がらせ的な意味』で行う人もいます。
判決をもらったあとのことを考えておく
裁判に勝った場合のお金の回収についてまとめてみました。
判決が出たからといって、すべてが解決するわけではありません。
相手がすんなりと払ってくれればいいですが、なかなかスムーズにいくことも少ないです。
判決をもらったあとのことも考えておくといいと思います。
逃げてばかりで払ってくれない人からは、どうにかして少しでも回収したいものです。